洋上風力発電は投資に値するか

Wind-power generation 調査

日経新聞の記事にもありましたが、洋上風力発電に注目が集まっているようです。

洋上風力が日本で始動 オリックス参入、課題はコスト
欧州で普及が進む洋上風力発電が日本でも動き出す。オリックスは千葉県沖で約1千億円を投じ設備を新設するほか、独電力最大手エーオンも日本市場に参入する。政府は再生可能エネルギーを主力電源に育てる計画で、洋上風力を新法や補助制度で後押しする。コストの高さなど課題は多いが、脱石炭を促す投資マネーの動きもあり新規参入や技術開発が...

二酸化炭素を発生させないクリーンエネルギーとしても評価されており、世界的に見てもまだまだ発展途上分野です。

そこで、洋上風力発電について調査を行い、投資するに値するか考えてみました。

洋上風力発電とは

読んで字のごとく、海洋上の風力発電です。
陸上風力発電は陸に設置しますが、洋上風力発電は海に設置します。

地球上の海の割合は約7割ですので、単純計算で陸の2倍以上設置できることになります。

種類は大きく分けて「着床式」と「浮体式」があります。
ざっくり説明すると、前者は風車を海底に突き刺し、後者は海上に浮かべるイメージです。

メリット

主に以下のようなメリットがあります。

  • 年間を通して比較的安定した風を得られる
  • 騒音問題にならない
  • 景観を害さない
  • 資機材の輸送コストが安い

1つは陸上に比べて、年間を通して比較的安定した風を得られることです。
陸上に風車を設置すると、設置した土地の凹凸により、うまく風を受けることができないこともあります。
対して海上であれば、基本的に開けた土地に設置するため、安定した風を受けることができるのです。

また、陸上風力発電に比べて騒音や景観を気にする必要がなく、環境問題が少ないのも特徴です。

さらに、設置時における輸送コストが安く済みます
陸上風力発電の場合、騒音の問題により辺境の土地に風車を設置する必要があるため、道路が整備されていないことがほとんどです。
そのため、風車のもとにたどり着くまで時間とコストがかかってしまいます。
対して海上風力発電は、基本的に船を使って風車のもとに向かうため、陸上よりはコストが少なくて済みます。

デメリット

対して、デメリットは以下になります。

  • 建設コストが高い
  • メンテナンス費用が高い

最大の課題は建設コストが高いことです。
現状、陸上風力発電に比べて、30~40%程度高くなると言われています。

組み立てる際も特殊なクレーンや付属設備が必要になるためコストが高くなります。
また、送電するための海底ケーブルを引くにしても、海にケーブルを引くため、どうしてもコストが高くなってしまいます。

そして、メンテナンスの費用も高いこともデメリットです。
穏やかな海であればよいのですが、海が荒れて船が出港できない場合があります。
直したくても現場にたどり着けないことが起きる可能性があります。

世界と日本

次に世界と日本における状況を見てみましょう。

世界

近年、世界各国で洋上風力発電の建設に取組む動きが見られます。

特に、ヨーロッパで盛んに開発が行われており、世界的に見てイギリスが断トツの設備を誇っています。

もともとヨーロッパは地形が割と平坦で、風況が安定しているため、風力発電に向いています
また、陸上だけでなく、バルト海、北海、大西洋などに面し、偏西風が年間を通して吹くという利点もあります。
中でもイギリスは排他的経済水域が広いため、洋上風力発電に向いているのです。

ヨーロッパの場合、遠浅の海岸が多く、気象条件も比較的安定しているため主に着床式の風車が採用されています。

日本

対して日本では、最近になってようやく注目されるようになりました。
現状、目立った活動は少なく、大きなプロジェクトとしては、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めている実証研究プロジェクトになります。

日本は陸の面積は少ないですが、海の面積では排他的経済水域は世界8位です。
そのため、洋上風力発電は日本にうってつけの発電になります。

しかし、問題も少なくありません。

日本は日本海と太平洋に面していますが、2つの海を比較すると気象環境が大きく変わるという特徴があります。
夏の場合、太平洋高気圧の影響で日本海、太平洋ともに気象は比較的安定します。
ただ、夏には台風が来るので、台風に対する対策は必須になります。
冬の場合、西高東低の気圧配置が続き、日本海側は大陸からの季節風が非常に強くなります。

また、日本の場合、近海には遠浅の海岸が少ないのも特徴です。
深い海底に風車を設置するのは、浅い海底と比較してコストが1.6倍になると言われています。

そこで、日本で導入する場合、浮体式が注目されています。
浮体式の場合、強風によって海が荒れても、基礎が海底に固定されていないので、設備が損傷したり損壊する危険性が少ないと言われています。

各国の導入状況

ここで各国の導入状況をランキングにしてみました。
(ソース:世界風力会議(GWEC))

1 イギリス 683.6万kW
2 ドイツ 535.5万kW
3 中国 278.8万kW
4 デンマーク 127.1万kW
5 オランダ 111.8万kW
6 ベルギー 87.7万kW
7 スウェーデン 20.2万kW
8 ベトナム 9.9万kW
9 フィンランド 9.2万kW
10 韓国 3.8万kW
11 アメリカ 3.0万kW
12 アイルランド 2.5万kW
13 日本 2.0万kW
14 台湾 0.8万kW
15 スペイン 0.5万kW

イギリス、次いでドイツが多いですね。
大きく離れて中国、さらに離れてデンマーク、オランダと続いています。

やはり、ヨーロッパでの導入が盛んなことが読み取れます。

イギリスに対して、日本は約340分の1ですね…。
ただ、ポジティブに考えれば、その分伸びしろがあるということです!

排他的経済水域ランキング

次に排他的経済水域のランキングを見てみましょう。
排他的経済水域が広ければ広いほど、風車を多く設置できると考えました。
(ソース:Wikipedia)

1 アメリカ 11,351,000km²
2 フランス 11,035,000km²
3 オーストラリア 8,505,348km²
4 ロシア 7,566,673km²
5 イギリス 6,805,586km²
6 インドネシア 6,159,032km²
7 カナダ 5,599,077km²
8 日本 4,479,388km²
9 ニュージーランド 4,083,744km²
10 中国 3,879,666km²

アメリカが1番で、僅差でフランスが続いています。
フランスは小さい国のイメージですが、世界各地にフランス領の島があるので、排他的経済水域が大きいのです。
(南太平洋のタヒチ、カリブ海、インド洋など)

前述のとおり、日本は8位ですね。

考察

さて、様々なデータを見てきましたが、そろそろまとめてみます。

現状、日本ではNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めているプロジェクトのように、あくまで実証研究レベルです。
普及が進むどころか、まだ実証研究すら終えていません。
このままではイギリスやドイツを筆頭に、さらに世界各国に差をつけられてしまいます。

ただ、最近よく耳にするESGやSDGsの流れから、国もようやく重い腰を上げて対応するのではないかと考えています。
国が率先して洋上風力発電の開発を推し進めて、日本のような厳しい海況であっても洋上風力発電が有効なことを示してほしいです。
そして、そのノウハウを世界各国で導入できれば、遅れを取り戻すことも難しくないのではないでしょうか。

僕個人としては、洋上風力発電は今後間違いなく伸びると考えます。

洋上風力関連銘柄

洋上風力発電に関する有力銘柄を集めてみました。

正直、日本企業に関しては一進一退の状況ですので何とも言えません。
ただ、日本に必要な技術なので、ぜひ日本企業には頑張ってほしいものです。

丸紅

丸紅は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進めている実証研究プロジェクトの全体統括をしています。
また、イギリスの洋上風力発電プロジェクトに出資しています。

[8002]丸紅 - 株価:楽天証券
このページでは、丸紅の株価や株主優待の情報をご覧いただけます。

三菱商事

三菱商事は、イギリスにある100%子会社、Diamond Generating Europe社を通じて洋上風力発電事業に携わっています。
また、イギリス、オランダ、ベルギーの複数のプロジェクトに出資しています。

[8058]三菱商事 - 株価:楽天証券
このページでは、三菱商事の株価や株主優待の情報をご覧いただけます。

住友商事

三菱商事同様に、ヨーロッパで洋上風力発電事業に携わっている。
イギリス、ベルギー、フランスの複数のプロジェクトに出資しています。

[8053]住友商事 - 株価:楽天証券
このページでは、住友商事の株価や株主優待の情報をご覧いただけます。

これまで紹介した総合商社3社に共通して言えますが、ヨーロッパで得たノウハウを日本に持ち帰って発揮してくれると期待しています。

その他(日本)

他にも注目している企業がいくつもあります。

例えば、オリックスは、冒頭の日経新聞の記事にもあったように、千葉県沖で約1,000億円を投じる計画を立てています。
また、レノバは、2017年から秋田県沖で調査を繰り返しています。

海外

海外の有力企業を調べてみました。

  • E.ON
  • Equinor ASA
  • Vestas Wind Systems A/S
  • Ørsted A/S
  • Siemens Gamesa Renewable Energy S.A.
  • EnBW Energie Baden-Württemberg AG

ニューヨーク証券取引所に上場しているのは2社だけでした。
しかし、現時点で国内の証券会社は取り扱っていないようなので、株を購入するにはアメリカのネット証券会社を経由するしかなさそうです。

洋上風力発電において世界シェア3割を占めるØrsted A/Sをはじめ、E.ONなど有力な企業に投資するにはハードルが高いですね…。

あとがき

洋上風力発電に関して、約半日調べてみましたが、かなり魅力的な事業だと思います。

残念ながら海外企業の株を購入するのは断念せざるを得ませんが、国内の有力企業の株は購入したい気持ちが強いです。
ただ、現状は資金が不足しているため、指をくわえながら動向を見守ろうと思います。

投資資金が用意でき次第、再度、企業の調査を行い、洋上風力発電が普及するまで長い目で見守ろうと思います。

ではまた!

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